熱処理技術HEAT TREATMENT TECHNOLOGY
金属の組織を変化させ、材料の特性(耐摩耗性・耐食性・耐疲労性・低歪)を飛躍的に高める熱処理技術。
この熱処理技術は素材の特性と使用目的に合せて条件を設定するという奥の深い技術です。
私たちの約70年の豊富な経験と技術力で毎月150社以上のお客様の幅広いニーズにお応えしています。
01浸炭
浸炭焼入
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・耐摩耗性向上
- ・エンジン、ミッション部品等
浸炭窒化
- <特性>
- ・耐摩耗性向上
- ・耐焼付性向上
- ・低歪
- ・エンジン部品等
低温浸炭窒化
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・低炭素鋼で廉価材
- ・プレス部品等
処理炉
- 全自動浸炭・浸炭窒化焼入炉
- ユニケース型浸炭・浸炭窒化焼入炉
- ピット型ガス浸炭・浸炭窒化炉
- 浸炭焼入焼戻
- 浸炭性雰囲気中で加熱し、製品表層部に炭素を浸透・拡散させて焼入れを行う処理です。
滴注式の浸炭炉で、量産品処理の場合浸炭のばらつきも少なく処理量の制限も緩和できます。
- 浸炭窒化焼入焼戻
- 浸炭性ガスに窒素を含む数%のアンモニアガスを添加し、製品表層部に炭素と窒素を浸透・拡散させて焼入れを行う処理です。
窒素の影響により焼入性が良くなり合金鋼の代わりに炭素鋼の使用が可能になります。
- 低温浸炭窒化焼入焼戻
- 処理温度を下げて、鋼の表面層に炭素と共に窒素を拡散させて焼入れをする処理です。
焼き戻しによる軟化抵抗が大きく疲労と衝撃に強くなります。
廉価材で硬化層が得られ、原価低減に寄与します。また、処理温度を下げることで歪も浸炭焼入れより少ない傾向にあります。
02窒化
ガス軟窒化(ガス冷・油冷)
- <特性>
- ・耐摩耗性向上
- ・耐焼付性向上
- ・耐食性向上
- ・高光輝性
- ・リテーナー等
NTC処理(酸窒化)
- <特性>
- ・耐食性向上
- ・耐摩耗性向上
- ・浸炭窒化処理の代替部品
- ・自動車部品等
窒素による表面改質
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・耐摩耗性向上
- ・ギヤー類、熱間鍛造型類
処理炉
- ガス軟窒化炉(ガス冷)
- ガス軟窒化炉(油冷)
- NTC炉(酸窒化炉)
- ガス軟窒化
- 窒素を活用した表面改質で鋼のフェライト温度領域である450~600℃程度で処理をする。
主にアンモニアガスを炉内に供給して鋼に窒素を表面から浸透拡散させる方法で、表面に窒素と鉄の化合物層を形成させます。
特に耐食性や耐摩耗性を必要とする薄板部品に優れたものになります。
- NTC処理(酸窒化)
- ベースはガス軟窒化処理で最表面に黒色酸化処理をしたものです。
特に強度と耐食性の要求される薄板部品に対しては、軟質時に成形しやすいSPC材を用 い仕上がりの変形も少なく処理できます。
処理後の表面はブラックフィニッシュの美観で耐食性の優れたものとなります。
03焼入焼戻
焼入焼戻(高温戻し)
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・低歪
- ・自動車、機械等の部品
焼入焼戻(低温戻し)
- <特性>
- ・材料は炭素鋼、合金鋼を主に使用
- ・自動車、機械等の部品
調質(無酸化処理)
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・高光輝性
- ・材料は炭素鋼、合金鋼を主に使用
- ・自動車、機械等の部品
処理炉
- 全自動焼入焼戻炉
- ユニケース型焼入焼戻炉
- ピット型焼入焼戻炉
- 3室型無酸化焼戻炉
- マルチフロー加圧ガス冷却型真空炉
- 焼入焼戻
- 炭素が一定以上含まれる鋼をオーステナイト化温度以上に加熱し、急速冷却することにより鋼の硬度を上げる操作を言う。
処理後は焼戻しを行う事により、硬度は低下するが靱性が高く、引張強度、耐力、伸び、絞り、衝撃等の機械的性質が向上する。
- 無酸化調質
- 炉内の雰囲気ガスを中性、不活性に調節して加熱中の酸化、脱炭を防ぐ焼入焼戻処理でスケールが発生しません。
靱性が高く引張強度等、機械的性質の向上のために行う。
04真空焼入
真空焼入焼戻
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・高光輝性
- ・金型・工具鋼等
固溶化熱処理
(SUS材)
- <特性>
- ・耐食性向上
- ・SUS630等
析出硬化処理
(SUS材)
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・高光輝性
- ・SUS630等
焼入焼戻(SUS材)
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・高光輝性
- ・SUS410等
処理炉
- マルチフロー加圧ガス冷却型真空炉
- 真空焼戻炉
- 真空焼入焼戻
- 真空状態で加熱し、窒素ガスで焼入冷却する操作を言う。
大気圧の10万分の1の圧力において鉄鋼部品の熱処理を行うため、炉内の酸素濃度が非常に低く、
酸化を防ぐとともに製品表面の清浄性が得られる熱処理方法です。
- SUS材の固溶化熱処理
- 鍛造、圧延、冷間加工等で析出した炭化物を合金中に固溶させ析出しない様にします。
析出硬化系のSUS材の析出硬化処理の前処理として実施します。
- SUS材の析出硬化処理
- 時効硬化を人工的に行う処理です。時効硬化とは時間が経つにつれて硬くすることです。
05焼鈍
軟化焼鈍
- <特性>
- ・鋼の軟化
- ・結晶組織の調整
- ・内部応力の除去
磁気焼鈍
- <特性>
- ・磁気的性質の向上
無酸化焼鈍
- <特性>
- ・疲労強度向上
- ・高光輝性
処理炉
- マルチフロー加圧ガス冷却型真空炉
(無酸化戻し、応力除去焼鈍等)
- 真空焼戻炉
(無酸化戻し、軟化焼鈍、磁気焼鈍等)
- 軟化焼鈍
- 鋼の軟化、内部応力除去、結晶粒度の調整の為適当な温度(鋼材により異なる)
に加熱した後ゆっくり冷却することをいいます。
- 磁気焼鈍
- 軟質磁性材料(パーマロイ、ケイ素鉄等)の磁気的性質、つまり透磁率は大きく、
保磁力は小さくを目的に部品状態で行う焼鈍とか溶体化処理のことです。
- 無酸化焼鈍
- 真空炉や無酸化熱処理炉で処理をする焼鈍です。
06その他
サブゼロ処理
- <特性>
- ・焼入れ後の残留オーステナイトをマルテンサイト化する処理
ショットブラスト
- <特性>
- ・焼入れ後の錆除去 ・表面に圧縮応力を付加